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「アニメーター残酷物語」は都市伝説?(長文!) 

[2007/01/12] | アニメ全般な話題 | トラックバック(1) | コメント(4) | TOP ▲

 ずいぶん前になりますが、日本のアニメーターたちの給料が安すぎるという記事を、ネット上で見た「初めて明らかになった実態」とサブタイトルされた文章をまるまる鵜呑みにして書いてしまいました。
 アニメの話というより、経済の話になってしまった気もしたので、その後あんまり触れなかったんですけど、“それはちょっと違うんじゃないか”、“そういう風聞が一方的に広まってしまって迷惑だ”といったような話を見聞きしたので、ほぼダイジェストみたいな内容になりますが、ご紹介しておきますね。

愛・蔵太の少し調べて書く日記
 「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か
 「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か・その2

 この最初のほうの文章は、「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というネット上では定説のようになっているものが、厳密には「…という説もある」というのに過ぎないということを丁寧に調べてまとめておられます。
 よく引き合いに出される、宮崎駿による手塚治虫“追悼文”(→岡田斗司夫『おたく学入門』 「手塚治虫vs宮崎駿」)も紹介されています。

昭和38年に彼は、一本50万円という安価で日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』を始めました。その前例のおかげで、以後アニメの制作費が常に安いという弊害が生まれました。


 リンク先にある、この発言の背景へのオタキングの解釈も面白いですね。(「東映動画vs虫プロ」みたいな視点はわざと落として、個人の思い入れみたいな部分をあえて強調しているような気もしますが。)
 それにしても「手塚は何故、…」という部分はなかなか難しい話のようですね。ここでは当時のアニメーターの給料が意外に高かったという指摘のほうが気になりました。

現在と異なり、当時のアニメーターの給与はとんでもなく高く(航空会社パイロット並)、高卒で5年働けば家が建つ唯一の職場と呼ばれていた。
虫プロダクション - Wikipedia
(※「東映動画vs虫プロ」の話もここにけっこう載っていますね。)


 それで「~本当か」の記事には注目すべきコメントが多数寄せられていて、それらが「~本当か その2」でまとめられています。東映動画側からの具体的な言及として挙げられている「大塚康生インタビュー」(→amazon)が面白いですね。学歴主義で、中卒の大塚さんが月給6000円のころ、同年代の芸大卒は月給1万円とか。

で、虫プロができて、ダダダーッとみんな東映から抜けていくと、会社は不安のあまり「契約になってほしい」と言ってきたわけです。


…とか。実に生々しい。(笑)

(※参考:東映、虫プロ関係アニメ史の過去記事→「なるほど、虫プロ系と東映系ですか!」、「アニメスタジオの系譜をお勉強」)

 大塚康生が東映動画に入社した昭和31年頃の国家公務員の初任給は9000円程度、虫プロが創設された昭和36年頃の国家公務員の初任給が1万4000円程度…というのが比較対象になっているんだけど、高度成長期の公務員になるのって、今の感覚ほど“いい仕事”感覚じゃなかったと思うんで、多少微妙でしょうか。(しかし、思ったほど悪くないには違いない。)
 ここでは「アニメーターの部門は、宮崎駿さんたちの1963(昭38)年4月採用組を最後に社員採用は中止され、以後はすべて動画を何枚描いていくらという契約採用に切りかえられ…」(大塚康生「作画汗まみれ」→amazon)という雇用形態の変化に注目すべき、「虫プロによる安価でのTVアニメ制作の影響を受けて、東映動画は固定給から出来高制に移行したようですから、無関係とは言い辛いかなぁ、と。」…いやぁ、なるほど!
 宮崎さんの先ほどの手塚批判は、著書「出発点―1979~1996」にも再録されているんですね。信念を持って言っているわけです、うん。
 紹介されている、このリンク先の記事も興味深いですね。

*昭和32年、東映動画創立。社員570名
*手塚治虫が初のテレビアニメ制作で参入。1話の制作費は本人も安いと認める、55万円。
*東映動画はこの危機を乗り切るため、契約者制度を導入。希望退職やロックアウト、組合員の首切り、下請け合理化政策を行う。つまり、作画・美術・仕上・撮影・音響など、職種ごとに下請けを作る。その結果、フリーの労働者が増え、賃金も安くなる。
健康に生きたい:「誰がつくるの日本のアニメ」イベントレポ


 すごいなぁ。まさに“アニメ史”ですね。(「都市伝説を都市伝説の形で流すのは、それはそれでいいんですが、…」ですか。うわっ、耳が痛いっ!)
 さらに間夫妻応援日記:中日新聞『アニメ大国の肖像』を見て、アトムの一本50万はトリックで、本当は150万、ましてキャラクターグッズのロイヤルティーが「日銭で何百万円」だったという証言を参照すれば、制作費が安かったからアニメーターが薄給だったというのは、まず違うみたいですね。ただそれは虫プロ側の視点の話で、東映側から見れば、まさに“何てことしやがる”って言いたくなるような、死活問題の引き金を引いたということだったのか・・・?
 ここまでが、アニメ黎明期の話。
 「愛・蔵太の少し調べて書く日記」さんの続きを読んでいたら、漫画の「制作費」を考えるという記事に、今度は今のアニメーターの労働環境についての興味深いリンク先が紹介されていました。

たまごまごごはん - アニメ制作の費用についてしらべてみた。

 これもあちこち詳しく調べてる記事です。「アニメ製作現場の過酷な労働環境」では、

2005年日本芸能実演家団体協議会調査
*アニメーターの約65%は年間総収入が300万円未満(年収100万~200万円=19.6%、200~300万=18.6%、100万円未満=26.8%)
*「初任給が3万円」というケースも珍しくない
*1日の平均労働時間は10.8時間、月間労働時間は推計250時間、週6日(時には週7日)勤務
*社会保険なし。(通勤費なしも珍しくない。)
*動画担当者のほとんどが出来高制(単価は平均186.9円/枚)
*熟練動画マンでも、月300~500枚描くのがせいぜい


…という数値データが。(ちょっと前だと衝撃的だったんですけど、昨今は格差拡大社会なので、少しインパクト薄れましたか?)
 ただ愛・蔵太さんが追記しておられるリンク先「アニメーターとして生きる」は業界内の方のようで、こういう“アニメーター残酷物語”みたいな風聞が広がりすぎることに異議を唱えておられます。

アニメーターとして生きる:腹立たしい記事
アニメーターとして生きる:腹立たしい記事 ~その2~
アニメーターとして生きる:腹立たしい記事 ~その3~

*新人のギャラが安いのは役者やお笑い芸人も同じはず、では何が違うのか?頂点、トップに立つ者が違うのである。
*この業界は「覚悟」して入ってくれば多少の苦難は乗り切れるし、一般サラリ-マンぐらいには稼げる。
*メディアはもっともっと稼げているアニメータを取り上げるべきだ、それが超少数派だったとしても絶対的に存在するのだから。


 たしかに、以前このブログでアニメーターの給料が安いらしいという話を書いたときも、現役アニメーターのnitsukaさんから、

ちなみに稼いでるアニメーターさんは月100万とか余裕でクリアしてる人もいます
その場合もちろんデザイン料や作監料、版権原画料なども含まれるので純粋に原画だけでありません
しかし僕や僕の周りの原画オンリーで仕事をしているものでも30万をこえることはそう難しくは無い様に思います。50をこえるのはさすがに厳しいですが


…というご指摘のコメントをいただいたことがありました。「本当は質を落とさず数を上げれるようにならなくてはいけないのにそういう認識がない」、「僕も含めて僕の動画時代には月1000枚超えられる人が何人かいましたよ。平均して6~800枚はやってました」という証言を、上の「熟練動画マンでも、月300~500枚描くのがせいぜい」という調査結果と読み比べると、「う~ん…」と唸りたくなります。
 社会保険とか福利厚生とか退職金とか、そういう制度保証のない不安定な労働形態が多いっていうのは否めないとは思うんですね。ただ、そういう労働者が昨今世の中全体にむしろ増えてるという事実もある気が。技術職だから“向き、不向き”もあるだろうと思いますけど、あまり悪い風評ばかり広がってはそれこそ新たな“人材確保”に悪影響があるので、業界内の人たちからは異議が出てくるんでしょうかね。

 「アニメーターとして生きる」では、「アニメーターのほとんどが会社員ではなく個人事業者です」というのを問題点に挙げておられました。所得税やら年金、保険料、住民税なんかのマネージメントの難しさを言っておられるみたいです。(あとボーナスや有給休暇や雇用保険や労災保険なんかの話もありましたけど。)(→アニメーターをマネージメントする ~その1~~その2~
 ただそういうのを、クリエイター自身がやることの難しさも言っておられます。近ごろ国は、やたらとアニメ産業のことにくちばしを突っ込みたがっているので、ならばその辺のことをまとめてあげればどうよと思うんだけど、難しいですかね。
 それと、「たまごまごごはん」のリンク先のほとんどで言っているように、スポンサーが出した制作費の半分以上が、広告代理店やテレビ局などで中間搾取されてる仕組み(この仕組みがいかなる“手塚センセイの負の遺産”かは別にして)も、どうかならないものかと。
 やっぱり世の中にこれだけアニメファンがいて、日々ものすごいお金をアニメ関連に費やしているというのに“トップに立つ人”、たとえば宮崎監督とか富野監督とか押井監督とかが、どっかの平山郁夫画伯みたいに“長者番付”に出てくるぐらいの超・大金持ち(笑)になってないのは、どこかがおかしいんじゃないかと。
 素朴すぎる意見なんでしょうけど、そう感じる人が多いから、「アニメーター残酷物語」みたいな都市伝説(?)が、実態以上に悲惨に語られてしまうのではないんでしょうか。

追記:
 「残酷物語」が本当に都市伝説なのかどうか、私には充分な調査もできないので、明言はできません。ただ、“A級戦犯=手塚治虫”説のように複雑な背景をすっ飛ばして「~のせいらしい」というだけで片付けるのは、現状の本当の問題点への検討を妨げることもあって、よくないんじゃないかと。(現状に至った経緯を知る上での、重要な手がかりとなる説の一つではありますが。)
 それと、「良かれ」と思って悲惨さを誇張して語ることがあるんだとすれば、それがかえって当事者には迷惑になってる場合もあるらしいということ。
 どうも産業構造が非合理的に古臭いものに見えてならないところに問題の大元がありそうな気がしますが、どうなんでしょうか。
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十年前なら呆然とする数字でも、今ではありえます。というのも悲しいものがありますね。
その意味では日本全体が構造的にアニメーター化しているといえなくもないし、それを推進している亡国与党と賛成野党がアニメーター、でなくアニメ業界に関わっていくという行動にはむしろ寒気を覚えます。
馬鹿2chねらが期待する麻生氏はまさにそれで何が悪い、言いきってしまう、相当強烈な新自由主義者なのに、そんな彼に新自由主義の成れの果てのアニメ業界をどうこうできるとも思えないのですね。

実際、以前どこかで聞いた話でなんですが、新規のアニメーターは大体が親の仕送りで生計をどうにか立てているといったケースが多いんだそうです。それがなければ雛鳥のうちに食えるだけの給料がない以上、餓死するしかないだろ、というのが普通なのだと。
だから地方出身者より、都市部の出身者のほう、特に関東出身者の方が多いというのを聞いたことがあります。親や親族が手助けしやすい環境になければそもそも仕事として立ち行かず、事情がつかみにくい地方出身者だとそれがうまくいかないのだと。
一人前の仕事の内情じゃないですよね。
それにそういう段階から脱しても、それでも満足に食えないから、エロ関係の仕事を合間を見ながらするアニメーターも非常に多いと聞きます。エロゲとか、同人とかいった類の話と思いますが。
(一番つらかったのはセーラームーンのエロ絵をリクエストに応じて書いてくれる人がいて、実際にあってみたら、セーラームーンの原画を担当しているアニメーターがいて、内情を聞くと、本業だけでは飯を食っていけないからしかたなく、倫理に外れる行為でも食える仕事をするしかないんだと、いう話でした)

> 時間が

最初に給料が安いのは芸人と同じと書いてありましたがアニメーターは朝から晩まで働いて薄給なのですアルバイトをしている時間がないのです
これが大きな違いです
仕事がなくて給料が安いのではないんです

>

*1日の平均労働時間は10.8時間、月間労働時間は推計250時間、週6日(時には週7日)勤務
↑10時間労働なんてのは手の早い人、こだわらない人、稼気なくても困らない自宅通いの人などです。
今まで自身3社(内2社大手)に席を置き、その他多くのスタジオの方からも聞いたことから判断するに
現状最低12時間以上2,3日の泊まりこみ貫徹当たり前、日曜休めればラッキーというのが大部分ですね。

*社会保険なし。(通勤費なしも珍しくない。)
↑当たり前

*動画担当者のほとんどが出来高制(単価は平均186.9円/枚)
↑原画も出来高です。3500~4500円

*熟練動画マンでも、月300~500枚描くのがせいぜい
↑当たり前。月1000枚て方も確かにいます。が私の知ってる方は早いぶん中身は粗雑、スタッフからの評判も悪いが時間がないので仕事を渡さざるをえないというのが続きます。
あと1000枚やったという中身はガンダムや最近の線の多い作品ではなく、1980年より前のスカスカの線画主流のアニメのことを指してる場合もあるので同一に語られても困ります。


確かにベテラン、性別年齢に限らず一般サラリーマンより稼いでる人もいます。
しかしそれは普通の会社でも同じことでしょう。社長から平まで皆同じ給料ということはありません。
アニメーターが困ってるというのは月15万ほど貰ってる人が言ってるのではありません。
それ以下の人が大勢いるから昔から言われてきてるのです。
これは都市伝説でもなんでもありません。現実なんですよ。

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