「何しろボトムズはいい!」というだけの話 

[2006/12/23] | 感想系 | トラックバック(0) | コメント(1) | TOP ▲

 昨日の夜は「やれやれ遅くなったし、もう寝るか」というところで、「明日は金曜日、GyaOで『ボトムズ』が更新される日じゃないか!」と、はたと思い出し、眠い目をこすりながら“サンサ篇”の完結を見届けることが出来ました。
 年末の忙しさってのは本当に嫌になりますね。一年分の現実がどっと押し寄せてくるという感じで。おたおたアニメも見ていられない。凄いストレスを感じます。
 それにしても『装甲騎兵ボトムズ』は、良い作品だと思います。絵は決してきれいではない。というか、むしろ作画面ではひどいというべきかもしれない…。フィアナは私の大好きなキャラクターなんですが、じつにしばしばビックリするようなお顔に描かれちゃう。(特にプロフィールが出てきたときがつらい。「そのしゃくれたアゴは何なんだ」と、さすがの私でさえ悩む事しばし。)
 では動きがいいのかというと、そこもどうか怪しい。ATと呼ばれるロボットの独特の動きは魅力的なのですが、40話ほども見てくると、“バンクシステム”が目に付きすぎて、独特とはいえ同じ動きの反復を見ていると、ちょっと酔ったような気持ち悪さを感じる部分があります。
 「良い作品だと思います」と言っておいて、粗ばかり書いてしまいましたが、要はさすが高橋良輔監督の代表作。シナリオがいいんだろうなぁということに尽きるのではないかと個人的に思いました。
 銀河を真っ二つに分けたSF大戦争という設定とか、あるいは物語の重要なテーマとしての“パーフェクトソルジャー”とか“異能者”とかの肝になる部分でさえも、実のところ私にとってはあまり重要なものには思えなくて、この作品で「良いなあ」と私がしみじみと思うのは、生きる事にひどく不器用な“男と女”のストーリーってところのような気がします。起承転結の、「転」の部分をくっきりと描き出した第三章“サンサ篇”では、特にこの部分が明快に描き出されていたんじゃなかったでしょうか。
 近頃は「安手のエンターテイメント」みたいな言葉が、絶えず私の頭の中でぐるぐると渦巻いていたりしますが、本当に、このキリコとフィアナのラブストーリーってのには、夢中になって引き込まれてしまいます。ついつい「もっとアニメーションとしてきれいだったらなぁ」「劇場版が作られていたらどうだったろうなぁ」みたいなことを夢想してしまったりもするんですが、どうも私の頭の中では、それがうまく像を結ばないというのか。このバタバタとした映像のクオリティが、(たまに関心の集中の妨げになるほどのときもあるにせよ、)奇妙にこの作品の“味”になってしまっているところを感じてしまったりもします。(こういうところで味わいみたいな言葉を出してしまうと、「だから中年のオールドファンは…」って言われる事も分かっちゃいるんですけどね。)
 リアルっぽさというと、普通は写実的な再現性のことだけを言うんですけど、実際私の身の回りの現実なんか見ていても、近頃のアニメみたいに「きれい」じゃないような気がします。再現性とは全然別の次元の話で、「ばたばたとしている」粗雑なものが、むしろ現実なのかなという思いがどっかにある。そういう中に、はたと美しいもの愛しいものを見出すと、思わずハートをむしり取られちゃうぐらいに心が動くんで、これは隅々まで美しく形作られたツクリモノの世界では、外形に気を取られてしまってなかなかそういう風には行かないところがあるような気がしてならんのですよ。
 まあちょっと変ちくりんな詭弁を弄しているようでもありますが、たまに海外のアートっぽいアニメーションを見たりすることがあっても、日本の商業アニメーションほどの一種工芸品的な映像クオリティとは、何か追求してるものが違うんじゃないかって気がすることが多いです。
 どうもうまく言えないんですけど、何しろ『ボトムズ』はいい!このばたばたの映像を見て、癒されてしまうこの感覚が、分からない人はやっぱり気の毒だなぁと私なんかは勝手にそう思っているわけです。


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コメント

> 実物大!!

 詭弁と謙遜されていますが、そんなことはないです(上から目線?)。
 『ボトムズ』というとどうやらメカの実物大がつくられたようで、……。我田引水気味ですが、「実物大!!」というタイトルで『タイタニック』ヒットに理由を考えてみました。暇つぶしにお目を通されれば幸いです。

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