太陽の王子 ホルスの大冒険 (1968年)
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![]() | 太陽の王子 ホルスの大冒険 大方斐紗子、 他 (2002/07/21) 東映 この商品の詳細を見る |
昨夜、「ハウルの動く城」を放映してましたから、今日のインターネットはその話題で盛り上がってるんだと思いますが、やむないこと&毎度のこととは言え「ゲド戦記」の宣伝色が強かったのに、私としては作品以外のところで少々、食傷気味…。
だからってわけでもないですが、今日は、TSUTAYAで先日たまたま手にした古典名作――宮崎アニメの原点とも言われる「ホルスの大冒険」の印象を書いてみます。
当時の宮崎駿はまだ一介の新人に過ぎなかったわけですが、次々と独自のアイデアを出して、「場面設定」というメインスタッフ名を勝ち取ったんだとか。演出は盟友の高畑勲、作画監督は大塚康生というゴールデントリオが揃った東映動画の黄金時代到来というわけであります。
実は、私がアニメを見た記憶の一番古いものが、東映動画三大傑作のひとつといわれる「長靴をはいた猫」でして、東映まんが祭ではなくて、なんか市の文化会館みたいなところでの名作上映会みたいなので、小学校2〜3年生ぐらいのときだと思います。
かように名高き傑作のホルスながら、私は今回が初見だったのですが、絵を見ると、やっぱり古い感じはどうしようもなくありつつも、けっこう楽しく見てしまったのは、この辺が私のアニメの原体験に近かったりするからなんでしょうかね。(だから誰にでもお勧めできるかというと、ちょっと自信がない。)
・・・でも動きなんかは全般にけっこう良い気が。群衆シーンの描き方なんかはすごいと思ったところもあり、北欧風の舞台設定と言うだけではなくて、海外のアートアニメーションっぽい味わいがありました。(たぶんそういうのを強く意識していた時代なのでしょう。)
ところどころギクシャクと、時代を感じさせる表現も散見しますが、会社側と対立しながら制作が進められたというような背景事情がどうもあるらしく、とにかく許された環境の中でギリギリできる限りのものを作ろうとする気迫がむしろすごい。(正直、少し息苦しいぐらいの圧迫感さえ。当時、これだけの力作が興行的に成功しなかったというのも何となく分かります。)
あらすじは、東映アニメーションのホームページあたりを見ていただきたいですが、東映動画から社名も変わったとはいえ、下記の解説は、なんだか苦笑交じりにしか読めませんね。
かいせつ
さまざまな困難の中で、3年の歳月と作り手たちの持てる技術と労力の限りを尽くして作り上げた日本アニメーション映画史に燦然と輝く傑作。
にもかかわらず、公開当時漫画映画なのに笑えるところが一つもないとか、詰め込みすぎて余裕が無さ過ぎるという評があったり、ちっともお客がはいらなかったりで、散々であったが、年を経るにつれてその真価が認められ、東映映画の代表作となったのだ。
そのホルスは、物語としてはいかにも王道の冒険ストーリーで、わりとポンポンと(あまりひねりもなく)出来事が積み重ねられますが、中には「小ずるい」大人もでてきたり、人々は基本的に「愚衆」(最後には団結しますけど)だったりと、子どもが見るには厳しそうな現実的描写もありました。(この辺は高畑テイストなのでしょうか?)
しかしこれで本当に82分でしたか!?
やはり「まんが祭」とかの関係で、かなり時間圧縮されたのかとも思いますが、見終わったときの体感では、2時間超の大作をみたぐらいの印象です。
冒頭のホルスの旅立ちのシーン(未来少年コナンそっくり!)をはじめ、随所にのちの宮崎アニメのモチーフの初期描写が散見されます。なのに、こんなことを言うと、皆さんには「エーッ!?」って思われるかもしれないけど、最後まで見た印象は、宮崎アニメの原点って言うよりも、むしろ富野アニメを見たときの感じに近かったような。(笑)
最近ネットで読んだ富野由悠季論の中で、「富野由悠季自身が常に抱えているある種の破綻」は「物語の大筋をぶち壊してでもやりたいことをやるというということで、それが原因で物語が破綻してもかまわない、という性質」にあるという、まさに一刀両断な言葉を目にして、あまり見事に斬られたのでちょっと嬉しくなってしまうということがありました。
もちろん作家本人は物語をぶち壊したつもりではなくて、ギリギリのところで成立する、(うまく言えないが)物語を超えた「表現」を追求しているのだと、私は思いますが、それに近いものを、この「ホルスの大冒険」に感じたということです。
「アニメミュージカル」ということで、全篇歌声にはあふれていますが、ナウシカ以後の宮崎アニメを彩る久石譲ミュージックの華麗さはないです。もちろん鈴木敏夫のプロデュースもない時代。だからこそなのかもしれない、この少しギスギスとした(けれど何かが胸に残る)「表現」は、(名作・傑作と言われながらも)今の人たちには受けないだろうな、と正直に思いました。(当時もか!)
私はぜんぜんジブリ通ではないので、この作品の宮崎テイスト、高畑テイスト、大塚テイストの区別もよく分かりません。
それでもなお、個人的な感想ですが「作家性」というものは、上手に物語をつむぎだす職人芸とは違うらしいぞ、という手ごたえを得ることができただけでも、これは一見の価値がある作品でした。
[2006/07/22
17:16]
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コメント(2)
コメント
そういえば
富野作品のザンボットとかVガンの雰囲気に近いのかも。
その後の高畑作品で主人公がああいう風に活躍する話ってなかったような気がする。宮崎作品はかっこよすぎて、あの地味めでぎすぎすした感じはない。ただ後年もののけ姫で似たような線を狙っていたように思う。
その後の高畑作品で主人公がああいう風に活躍する話ってなかったような気がする。宮崎作品はかっこよすぎて、あの地味めでぎすぎすした感じはない。ただ後年もののけ姫で似たような線を狙っていたように思う。
「エーッ!?」
こんな感じでよろしゅうございましょうか、
万丈様?
荒々しいけれどなぜか惹きつけられる、という感じは僕にも覚えがあります。今となっては名作なんだけど、封切り当時は異色の問題作だったんですね。しかし、当時も「マンガ映画」を取り巻く「お約束」は存在したんだなあ。
>漫画映画なのに笑えるところが一つもないとか
かあ。
万丈様?
荒々しいけれどなぜか惹きつけられる、という感じは僕にも覚えがあります。今となっては名作なんだけど、封切り当時は異色の問題作だったんですね。しかし、当時も「マンガ映画」を取り巻く「お約束」は存在したんだなあ。
>漫画映画なのに笑えるところが一つもないとか
かあ。
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