BSアニメ夜話スペシャルその3 

[2005/08/25] | 御大 | トラックバック(1) | コメント(8) | TOP ▲

シャア専用ブログさんの偉大な書き起こしなんだけど、

井上
だから逆にセイラって凄く的な部分もあるし、もの凄く俗っぽい部分、両方ありますよね。
富野
勿論。だからそれでその揺れ動き、キャラクターとしての面白さになってくるわけだから、っていうのは本当に全部を好きになっててキャラクターが作れるとはやっぱり思えないな。



今見たら、「聖」→「性」に直ってるみたいなんだけど、ここはやっぱり「聖」でよかったんじゃないのかなぁ。「聖」⇔「俗」 の両方でしょ、やっぱり。

で、前々回前回からの続き。

富野
ファーストガンダムの冒頭でシャアがミサイルを撃って、「認めたくないものだな、若さゆえの過ちを」ってあの台詞を思いついた時に、ミサイルを撃って一応陽動をかけておく、だけど「えっここで第二撃を入れなければいけなかった」っていうのは手間がかかるとか、第二にミサイルやっておれも出撃するぞ、っていう台詞、みんなこの手の番組では知ってる台詞じゃんって時、こいつに何を言わせようっていう時、こいつ何か知らないけども駆け出しのくせに変に階位だけは上なんだよ、ってとこで偉ぶっちゃってる、こいつだけど偉ぶってるかと言ったときに、俺恥ずかしいんだよね、なんでマスクまでしてなくちゃいけないキャラクターにさせられちゃったんだから、っていうのを、うわーっとそういう台詞にしたいと思ったって時に、こいつ若いんだって自覚させればいいだけの話だって時にあの台詞は出てきた。



台詞が難解以上に、この解説が難解だよね。(笑)
物語の流れから当たり前に出てくる台詞ではない言葉をつぶやかせることで、いきなりシャアという人物をキャラ立ちさせたかったんだというように解釈しました。そのこと自体はさすがだな、と素直に感心。なんで言葉にするとこう難しく語ってしまうのか知らないけど。

富野
その劇に合うキャラクターの造形を目指しているって、僕にとってアムロという名前を決めたときからある、アムロに拮抗するシャアって風に置きたいから、シャアの肉声、がマスクのまんまの言葉ではいけない。あそこまでアップにしたら独り言で良いわけだから。


出た、アニメ職人!絵コンテ千本切りは伊達じゃない!

富野
だから、それこそ誰でもいいんだけど、セイラさんのね、体型が見えるような宇宙服なんてあるわけねえじゃねえかっていうのが基本にあるから、ガンダムをもってしてリアルな何とかかんとかって言われるのは大嫌いです


「SF論争」ではいろいろ言われたらしいですからね。(笑)
根本的なところで、作った本人さえもリアルとは思ってないのに、実在の戦記もののように扱いたい人たちが多いことは本当に厭なんだろうなぁ

富野
それだったら電動紙芝居でもやるしかない。かなりテレビ漫画の仕事なんてのはレベルが低いんだけれども、それでもなんて言うのかな…それでも有効利用はあり得るなと思った。むしろアート、芸術から入るよりは、間違いはないんじゃないかというのは、アトムの仕事3年間やって教えられたことだから。世俗に向けて、作品を作るっていうのは悪いことではない。そういう意味ではああ、映像媒体ってのは面白いな、ってことは本当に教えられました。


アート路線というか文芸路線というか、そういうのと一線を画すことを原点としているのだ、という確認ですね、うん。

富野
それでだから僕にとってはガンダムまでの作品というのは所詮お仕事でやっていた事であった。だけどフィクションというものは、ちょっと待てよ、本気で宇宙旅行やっていいんだ、っていうのが分かって辿り着いた時に、ガンダムというのは僕にとってはとても抵抗なく、あの劇空間というのは、僕の中ではリアルなものとして存在していたから凄く平気だった。だからむしろフィクションを作る上で重要なのは何なのかという事を考えた時と、あの宇宙旅行の対象となっている宇宙空間というものを、劇に持ち込む為にどうしたらいいかという風に考えた時に、戦争を舞台にしないと、あれだけ動き回るシチュエーションというのはありえないから戦争物にしたということで、戦争物が先にありきでもないんです。宇宙旅行ありきなんです。僕の思いのまんまをこうやってガンダムというのは貼り付けられたし、仕事の上でそういう子供の頃に一番本気で思ったことを貼り付けることができたっていう、再現ができたっていうこと方の嬉しさの方がはるかにありました。だから理知的にいう意図なんてどこにもない。


一見、先ほどのリアル云々の話と矛盾するように聞こえますが、アニメの空間が、そのアニメの世界の中ではリアルなものと感じてしまうというのは、アニメに馴染んでる人とそうでない人では実際、残念ながら共有できない感覚があると思うんですよね。頭とか理屈とかで考えるものじゃなく、どちらかといえば体覚的なレベルの話。SF設定として正しい考証がされているかどうかよりも、その作品全体の世界観に馴染んでいるかどうか、みたいな。印象派が描いた風景の中に、急にレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの人物が立っていてもおかしいだろう、というような例えでいいかどうか分からないけれども。

今日は炎天下に一日野外でのお仕事で、色白の私は「真っ赤っか」のシャア専用状態に日焼けしてしまいました。ヒリヒリとしてます(笑)。かなり体力限界点にも近づいておりますので、本日はこれにて。
次回へとまた続くいつまで続くんだこれ。
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コメント

> リアルという事・・・。

この「リアルな~と言われる事が大嫌い」というのと「劇空間がリアルなものとして存在していた」というのは、スゴくよく判りますね。これは「ガンダム世界が富野氏にとってはっきり感じられたか」という事と「ガンダムがリアル○○アニメである」という事の違いですから。

ただこの「そもそもガンダムは全然リアルじゃない事」を判ってるガンダムファンって、今すっごい少ないんじゃないかしら?

> 御意。

しょせん「電動紙芝居」たるアニメだからこそ、できることがあるのではないか。・・・という可能性を見ようとしない人たちには、何を言っても無駄ですね。たとえば絵画で言うと、精密迫真に描くのであれば、油絵のほうが日本画よりも材質的にはるかに適しているのですが、写実的に描く人は少なくないとはいえ、「日本画だからこそできる」表現を多くの画家たちが探し求めていることなどは、常識の上の常識なわけです。

> リアルとリアリティ

この「リアル(現実)とリアリティ(本物っぽさ)の違い」を理解できない人達は、ガンプラからアニメ(ファースト)を経ずに資料へ流れていった人達に多い気がします。ザク(フィクション)と四号戦車(現実)を同一視する、って言ったら判るかしら?
ガンダムを考える時に「正史」と言ってしまう人達・・・。

> ガンプラ的リアリズムは、

所詮、それだけのものなのですよね。
http://piro.sakura.ne.jp/latest/flakes/034katoki.html#katokidati
これは有名な「カトキ立ち」についての考察ですが、ガンダムが人間ドラマの小道具に過ぎないアニメでは、キャラクターから見たMSの巨大さを表現するために見上げ気味の構図(ガワラ立ち)が好まれる。一方で絶大な人気のある「カトキ立ち」は、ガンプラのスケールで考えると一番カッコイイ。
私にはそれはそれで全然かまわなく思えるけれど、もしガンプラ混同派の人々が「リアル云々」とアニメ本編にまで茶々を入れるというのであれば、まず自分たちの身辺(ガンプラ)で、「ガニ股&大股開き」のリアリティがどうであるのか、きちんと整理してきてから発言してもらいたいとは思いますね。

> 嘘のつき方

カトキ立ち、かなり好きです。かっこいいですよね?
私はあのかっこよさは「設定画のかっこよさ」だと解釈してます。
本編でカトキ立ちをやったら不自然ですよね。(ガワラ立ちもですが)

初めて「ビルバイン」の設定画を見た時かっこ悪いと思いました。
劇中で、あれほどかっこよく見えるとは想像も出来ませんでした。
ただの「絵」を「本物」に見せるのは演出や作画の嘘のつき方しだいです。
上手く嘘をついてくれたときは、だまされて気持ちが良いです。
ただの絵を「本物だ」と言う人の気持ちは理解できませんが。
(遊びで言うのは好きですけどね)

> 考察ごっこは、

面白いんですよ、たしかに。
0080をようやく見終わりまして、今の大連載(笑)が終わったら感想を書こうと思いますが、「考察ごっこ」的には痛いけど、全然そんなことは関係ない作品でした。いろいろ考えることもあるし、何しろ宇宙世紀モノぐらいは全部見ようかと思っております。

> 0080は本当に面白い。

こう私が書くと揶揄してるって思われるんだろうな、きっと・・・。

でも本当に面白いし、大好きです。これは0083についてもそうなんですよね、私。そして多分、08小隊も観たら、すっごい没頭してみると思うんですよね。
だってガンダム大好きだもん。

ちなみにDestinyも楽しく観てますし、SEEDだって一時期ほど嫌いじゃなくなってます。

> ここであまり書くと、

本文で書くことが・・・。(笑)
好き嫌いを言うのに、最近は作品としての出来(クオリティ)がどうしても気になります。当時としてどうだったかというアニメ史的エポック度もあります。クオリティの尺度もたくさんありますよね。そう言いながら、結局は直感的に決まってるんですけどね。(笑)

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「セイラって凄く」

毎度お世話になっております。「お隣」(1/5付け)で2005年を振り返っていらっしゃいました。日々次々と膨大な情報を更新していらっしゃるシャア専用ブログさんが、何故「聖」→「性」