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「サマーウォーズ」のモヤモヤを「ヱヴァ破」で?<再構築(リヴィルド)の価値は> 

[2009/08/22] | 随想系 | トラックバック(0) | コメント(6) | TOP ▲

 このブログでは細田守『サマーウォーズ』は、あんな明るい娯楽映画なのに、どこかモヤモヤするのは何なんでしょうね、という話をしてたところです。(上手くまとめられませんでしたが。)
 今日はTOKIGAWAさんが、気になる記事を書いていて、また少し違う視野から話が出来る気がしたので、ここでコメントしてみます。

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック ヱヴァンゲリヲン新劇場版 2009年カレンダー

「痛み」なんだ!! 「代償」なんだよ!!! サマーウォーズに足りなかったのはこれなんだ。だから、胸が躍らなかったんだよ!!

 私は『ヱヴァンゲリヲン:破』を観ても、また違う感じでモヤモヤしてたので、これには何だか同意できないなーと思って、その理由を考えてみました。
 それで、むしろ私が『ヱヴァ破』でモヤッとした理由が分かった気がしたんで、下記のようにブクマコメントしました。

ヱヴァ破はエヴァ以降に生じた「痛み」のバーゲンセール状況(ヲタクホイホイ)にカウンターを撃たねばならぬはず。アニメで「安全に痛い」という問題をメタ的に意識させられるのはサマーウォーズのほうかも。

 新劇場版『ヱヴァ破』が、エヴァンゲリオン以降の状況に対してカウンターを撃ってないかというとそうではなくて、いろいろ仕掛けていると思います。ただ、あちこちで絶賛されている感想なんかを読んでいると、そのカウンターは「機能している」のか?という疑問があるんです。
 もちろんシリーズはまだ続くので、持ち上げるだけ持ち上げておいて落とすという伝家の宝刀メソッドが抜かれたときに、このへんで仕掛けられていた埋設地雷がどんなふうに炸裂するんだろうかという期待も含めて、判断は保留中です。
 何ていうか、クリエイターといえども芸能者であって、エンドマークを打つその瞬間まで、観客をスクリーンに引きつけておかなくちゃならないというのは正しいと思うんですよ。とてもじっくりした構えで納得の行く作りをやってるみたいですから、続きがすぐには出てこないということもあり、この間にあれやこれやと期待が盛り上がるだけ盛り上がるという社会現象も、芸のうちです。

目的のために自分の身を削って、邁進する。その必死さを見て、人々の心がようやく震えるんだ。

なのに、ないんだよ。サマーウォーズにはそれが。キングカズマがボロボロに傷ついても駄目なんだよ。健二や夏希や佳主馬が傷つかなくてはだめなんだ。重くないんだよ、軽いんだ、サマーウォーズは。ずしんとくる重さが全然足りないんだ!!

 『サマーウォーズ』は細田監督の旧作である『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』を下敷きにしているんで、機会があればぜひ観てみてください。まるきりその問題に向き合っている作品でした。(ネタバレになりますが、デジモンを操る少年たちはクライマックスでゲーム的な仮想空間の中へ入っていきます。)
 私は何で細田監督がこの作品を再構築しようと思ったのか不思議だったんですが、TOKIGAWAさんの指摘で逆に分かってきた気がします。まるきりそのまんまじゃん、と言われていた『サマーウォーズ』ですが、『ぼくらのウォーゲーム!』の肝であるその部分は再現されていません。対照する意図を明快にするなら、むしろ積極的に反転させられている、と言ったほうがいいかもしれません。

 「安全に痛い」というのは、善良な市民(宇野常寛)さんがオタク的心性への批判でよく用いる言い方ですが、『ぼくらのウォーゲーム!』の主題にそういうものがあった以上、『サマーウォーズ』での反転が自覚的でなかったはずはない、と言えるでしょう。(「再構築の価値」ですね。)
 もう一層ひっくり返されたことで、メタ的に気づかされる仕組みが仕込まれたということでしょうか。そういう意味では笑って泣いて楽しんで、なのに「モヤモヤ」してこその『サマーウォーズ』なので、痛みの意味について考えることは、むしろ望ましいことではないかと思います。
 ですが、せっかくそこで考えさせられたことを、『ヱヴァ破』でスッキリして解消というのでは、それでは思考停止パターンになりかねない、と危惧するのです。

肯定する、ということは否定するよりも難しいことです。『サマーウォーズ』の主人公、小磯健二くんの得意な「数学」で喩えていうのであれば、それは証明問題の難しさと言えるでしょう。何かを否定するには、反例をひとつ持ち出せばすみます。でも、何かを肯定するにはどんな場合でもそれが正しいことを言わなければなりません。これは地味な割に難しいことです。

 『サマーウォーズ』は21世紀のデジタル社会も、旧態依然とした大家族も、前向きに肯定している。非常に危うい演出的マジックを用いてでも。例えば今日なお、『サザエさん』というお化け番組が大衆の支持を得て生きながらえているというのも現代のひとつの現実ですよね。オタク的に閉じた世界観ではなく、そうしたものも含めて考えようとしている。(危うさを批判することより、マジックの巧みさを賞賛することより、そこが大事なところかもしれません。)
 ウェルメイドなエンターテイメントに見えたものが、後から思えばひどく際どいバランス上に成り立っていたことに気づかされるにつれ、むしろ現代社会へのヴィヴィッドな批評性として機能する。それが『サマーウォーズ』の魅力だったようです。

 TOKIGAWAさんの記事には批判的な趣旨になってしまいましたが、むしろこういうふうに考えが整理される糸口を与えていただけました。感謝します。

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[tag] エヴァンゲリオン fc2ファビコン 細田守 fc2ファビコン

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コメント

> 神ファミリーとの対比について

やはり、ザンボットは自分で見るしかないですか…
サマーウォーズでは、大家族の隣の違う家族は何をしていたのかとかが気になりますが、しばらく見る時間はないのです。

> 私の関心は、

富野スキー的には、前回書いたように、『ファウ・ファウ物語』の「絵が動く」で言われていた気持ち悪さというのが、なるほどエロスとタナトスという問題意識なのか~という気付きのきっかけをもらったので、大満足です。
「家族」問題でいうと、『サザエさん』というしぶとい補助線があって、『ザンボット3』について考えるなら、まずこちらと対照しながらでないと、『サマーウォーズ』と直接見比べるのは難しいような気がします。(時代がどう変わったか、という話で終わるような。)

> 初めまして

thvenr
http://d.hatena.ne.jp/thvenr/
初めまして。「サマーウォーズ問題」wの流れが気になって、記事を追わせてもらっている者です(というか、ちょくちょくガンダムの記事も読ませてもらってました。配信している再放送、楽しんで見ています)。

ちょっとどう考えたらいいのかわからなくなって来たのでひとつ質問させて頂きたいのですが、囚人022さんとしては、サマーウォーズに関しては、手放しで楽しめたという感じなのでしょうか? それとも面白いのだけれど……という感じなのでしょうか?

全体としてすごく楽しまれたということはわかるんですが、これがまさに自分が望んでいた映画だ!というほどには肯定されていないようにも感じるんです。それでその、「良いんだけど、どこか違う部分もあるな……」という感じのせいで一連のエントリーを書かれているのかな?と思ったのですが、そういう読みで構わないでしょうか?

僕の場合は「これは細田時かけファンの自分が望んでいた作品とはまったく違うけど、心の準備をすれば肯定的に見ることはできるな」という感じでした。上から目線のいやーな感想なんですがw、そういう感想になってしまう作品というのも、面白いと言えば面白いと思っています。

もし構わなければ、囚人022さんの感想の細かいところ、教えて頂ければ幸いです。

>

URLが本文の変なところに入ってしまったw
すみません。

> 応援したい作品だと思っています

ブコメのほうの「サマーウォーズあればエヴァ破のもやもやが解消できるのか?」については、これはまったく一般論ではなくて、TOKIGAWAさんの視点を読ませてもらって、私が「そうか」と気づいたという純然たる個人的体験です。
「手放しで楽しめたという感じなのでしょうか? それとも面白いのだけれど……という感じなのでしょうか?」というご質問のほうは、手放しで楽しめた、かつ(にもかかわらず)モヤッと感も残った(しかし、そこがまた面白い)。とお答えします。

どこかのブコメで書きましたが、この作品は減点法で振り返ると真価がわからなくなる作品だったと私は思います。これはたぶん『ヱヴァ破』のほうでもそうで、二度目にご覧になった方が
>「物語がどう進んで行くのかを詳しく追う/その為には些細な会話を聞き漏らさない。」という作業をせずに、純粋に絵と音と感情を楽しんでみたら、とってもよく出来た娯楽作として楽しむことが出来た
という感想を書いておられて、「ああ、そうだなぁ」と反省もしたのです。
個人的には『オマツリ男爵』のほうが好きな作品でしたが、『サマーウォーズ』の可能性は応援してみたくなるものだというのでは、説明にはならないでしょうか。

> re:応援したい作品だと思っています

> 個人的には『オマツリ男爵』のほうが好きな作品でしたが、『サマーウォーズ』の可能性は応援してみたくなるものだというのでは、説明にはならないでしょうか。

いえ、それでとても納得行きました。ありがとうございます。付け加えるのなら、「応援したくはあるのだけれど、どこを推せば一番いいのかよくわからない」という辺りでしょうか。もしそういうことなら、僕自身の感想とも近い感じだと思います。

僕は逆にオマツリ男爵の方が苦手な感じなんですが、細田さんはこれからも良い作品を作り続けられるだろうと思いますし、速く自分に合った細田作品のツボを見つけたいです。

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