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富野由悠季が作中で描いた『Hotel California』 

[2008/12/10] | 御大 | トラックバック(0) | コメント(6) | TOP ▲

 富野由悠季の実験的なファンタジー小説、『ファウ・ファウ物語(リ・ストリー)』のラストに流れるBGMが『HOTEL CALIFORNIA』であることについて、大きな大きな「?」と読後感想では書いたんですが、あれからずっと一日中、頭の中であの曲が渦巻き続けているので、たぶん答は出ないと思いながら、続きを書いてみます。

 未読の人には小説にBGMと言うだけで「?」だと思いますから、いちおう解説すると、物語の終わり近くに、妖精ファウ・ファウは小さな奇跡を起こします。後から思えば、その時バイストン・ウェルへの扉が開かれはじめたということを、この表現が言外で示していたのかもしれません。

 その時、ファウ・ファウの耳にギターの音がかすかに聞こえて来ました。
 いえ、ギターではないかも知れません。
 もっと違う楽器の音かも知れません。

 ...... Welcome to
    the Hotel California
    Such a lovely place
    Such a lovely face .......

 歌詞も書かれているのです。ラストシーンでもう一度、この曲が聞こえてくる場面では、歌詞に訳詞さえ伴って書かれています。

 さすがにこの曲は聴いたことはありましたけど、私は音楽にはまったく疎いので、この歌の背景なども何も知らず、歌詞もただ不思議な曲だなーと思ってこれまで聴いておりました。

  • 当時のイーグルスは、(・・・中略・・・)相次いで大ヒットを記録してアメリカを代表するロック・グループとなっており、次期作品に対しても優れた作品を求める期待を集めていた。このため、相当なプレッシャーから思うような曲作りが進まず、盟友であるJ.D.サウザーを呼び寄せてこの苦境を乗り越え、本アルバムの完成に至った。
  • ホテル・カリフォルニア Hotel California 本アルバムのタイトル曲で、架空のホテル「ホテル・カリフォルニア」を舞台とした楽曲
  • 歌詞のあらましは、主人公がウェストコーストの砂漠のハイウェイでの長時間の運転に疲れて、休むために立ち寄った小奇麗なホテルに幾日か滞在し快適な日々を送ったが、堕落して快楽主義的なすごし方を続ける滞在客たちに嫌気して、以前の自分の日常生活に戻るためホテルを去ろうとしたものの、離れようにも離れられなくなった ・・・ という、一見伝奇譚的なミニストーリーであるが、歌詞の随所には言外に意味を滲ませる深みのあるものとなっているため、歌詞解釈について様々な憶測を呼び評判となった

 なるほど。『ファウ・ファウ物語』が連載された1985~86年というのは、『Zガンダム』の時期でもありますね。次作への期待と、思うように製作が進まないプレッシャーという意味でも、『ホテル・カリフォルニア』には当時の富野監督の意識に響くものがあったのかもしれません。

 この作品のラストシーンで、自称“ただのブナの木”が、タレントの森本(たぶんモデルはタモリ)に語りかける言葉は、バイストン・ウェルの「繰り返す物語」の理由を物語っています。(ちょっとユーモラスですが、根はとてもマジメな小説なのですよ。)

 『……たとえば、バイストン・ウェルは、人の意思、魂の力でできたものだと理解しています。そういう世界があるにも拘らず、ここに生きている人たちは、今の自分しか見ていません。だから、世界が汚染され、破壊していることに気が付いていながら、気づこうとしない……』
 「……なんでだろうか?」
 『具体的な方法が見えない限り、実行しようとしないからだ。良き想像、正しい想像を信じるだけの力を持てないからだ』

 『……人は目の前のことで騒いで、気を紛らわせているだけなのだ。それでは世界の真理は見えない……』

 そしてバイストン・ウェルの扉が開くとき、再び『Hotel California』が聞こえ始めます。

 以下は、特に作中で抜書きされている歌詞と、富野訳(?)の大意です。読後感想で書いた「物語の物語」という理解から、私の感想も付け加えてみました。

Plenty of room at the Hotel California

Any time of year, you can find it here

 ホテル・カリフォルニアにはたくさんの部屋があって、一年中いつでも部屋が見つけられるよ。
 (“ホテル・カリフォルニア=バイストン・ウェル”、あるいはもう一歩進めて“ホテル・カリフォルニア=物語”、でしょうか。)

There she stood in the doorway, I heard the mission bell

And I was thinking to myself, This could be Heaven or this could be Hell

 その人が玄関口に立っていると、教会の鐘の音が聞こえてくる。自分に聞いてみる、天国にいるのか地獄にいるのか。
 (鐘の音は、物語を駆動する事件のはじまりなのかもしれないですね。)

Then she lit up a candle and she showed me the way

There were voices down the corridor, I thought I heard them say...

 その人が蝋燭を灯して案内してくれる。廊下のいくつものドアから声が湧き上る。
 (“その人”=物語の書き手でしょうか。)

They livin' it up at the Hotel California

What a nice surprise, bring your alibis

 みんなホテル・カリフォルニアに住んでいる。……アリバイを作ってさ。
 (何かと口実を設けては、人々は物語の空間に逃げ込まずにいられない、ということでしょうか。)

 このように読んでおりましたら、『ファウ・ファウ物語』の「あとがき」をもう少し読み解くことが出来るような気がしてまいりました。とりあえずいったんここまでとして、続きはまた書きたいと思います。

追記:

 ようやくにして続きを書きました。よろしければ、こちらもあわせてご覧ください。

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[tag] 富野由悠季 fc2ファビコン ファウ・ファウ物語 fc2ファビコン

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コメント

>

特にイーグルスというわけではなく、違う世界との境界の音が、ファウ・ファウにはこのように聞こえたって言うことかなあ、と思います。
日本人には般若心経に聞こえたりするかも?
イーグルスとか洋楽と言う個体よりは、その中身の概念的なものを、小説とは違う歌とか、小説の作者とは違う歌手の歌詞を通じて、多面的に浮き上がって、普遍的だと間接的に感じさせられましたね。
だから、「洋楽を使ってオシャレ」っていうわけではないんですよねえ。深いです。


でも、同時に、映画に成った時に単純にきれいという効果もあるんで、映画化して欲しいです


しかし、21世紀にも成ってこんなにファウ・ファウで盛り上がるとは思いもしませんでした

> 勝手に盛り上がっていて(笑)

今ごろ『ファウ・ファウ』を読んでいる、ぬるーい富野ファンなので、お許しください。
だけど、『動物化するポストモダン』とか、そういうのと、言ってることの根は同じだと思うんですよ。富野由悠季、早すぎるぞというのが私の感じ方です。

> ファウ・ファウ

>だけど、『動物化するポストモダン』とか、そういうのと、言ってることの根は同じだと思うんですよ。富野由悠季、早すぎるぞというのが私の感じ方です。

早い遅い、というより普遍的な問いなのでしょう。もちろん富野御大の感度はいつも鋭いと思うのですが、にしても『動物化...』は古すぎました。著者も廃れた「現代思想」を再び活性化したい、というふうな意図を語っていたように記憶しています。

グダちんさん、Imaginary FriendCompanionうんぬんと言い出したNishinomaruです。ブログのエントリーを拝見しました。興味深いお話勉強になりました。この場をお借りしてごあいさつさせてもらいました。管理人さん、ごめんなさい。

> 私も古過ぎる人ですから・・・

私も古過ぎる人ですから、今ごろ『ファウ・ファウ物語』に反応してるのですよ。(笑)

しかし最近のはてな界隈での『動物化...』な人へのバッシングは、何かすごいんで驚きます。あんなの、ただの学者バカ発言だと思うんですが。(むしろ、「この人こんなに学者バカだったのか」と私は微笑ましささえ感じたりしています。)
大衆受けしていたときに批判をするのは、いいカウンターだと思うのですが、叩かれているときにそれをやるのは、あまりノーブルじゃないような印象が私にはあるのです。

> まったく同感です。

>しかし最近のはてな界隈での『動物化...』な人へのバッシングは、何かすごいんで驚きます。

ほうとうにそうですね。動物化している人をいじめたら動物虐待ではないか(笑)。ただ、今回の一件はその背景に政治の存在を感じさせるものがあり、その点でも、わたしはあまり関わりたくないと考えています。けっして政治に無関心なわけではないのですが、オタク文化を含めた芸術の問題と政治の問題との間にはしっかりと線を引いて置きたいからです。

>


>>Nishinomaruさん
どうもどうも、イマジナリーコンパニオンに興味を持っていただいて、こちらこそありがとうございますって言う感じです。
僕もNisinomaruさんの80年代妖精ブームとの関連のお話は面白かったです。


>>囚人022さん
僕も時間軸的にはオタク第3世代なんですが、貧乏暇なしで動物化するポストモダンは読んでないです。(笑)
が、囚人022さんの感想などを読むと、タコツボの枠に囚われたがらない感じでしょうか。でしたらファウ・ファウとも似てるかもしれないです

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