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『宮崎アニメは、なぜ当たる』 読書感想文(?) 続き 

[2008/09/09] | 感想系 | トラックバック(0) | コメント(6) | TOP ▲

 書き出したときは面白いと思ったんですけど、こういうのって急に面倒くさくなったりしますね。最近、ブログに富野監督の関係の記事が少ないよ、と指摘されたりしてるんですが、個人的には富野小説を読んで、足りない“トミノ分”を補っているような感じです。(今まであまり読んでなかったのですが、皆さんのおかげで急にトミノ小説に親しむようになりました。)
 それなら小説の感想を書いても良さそうなもんですが、アニメの感想と違って「映像→文字」じゃなくて「文字→文字」なところが書きにくいんですね。
 そんな感じで、本の感想を書くのは苦手なんですが、何とかまとめてみたいと思います。

宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由 (朝日新書 121)

 前回は、『ナウシカ』(1984年 配給収入7.42億円)→『ラピュタ』(1986 5.83億円)→『トトロ』+『火垂るの墓』(1988 5.88億円)までというところで、当時の興行成績としてはまずまずとはいえ、最近の宮崎アニメとは文字通り桁が違うだけでなく、やや右肩下がりというところまででした。

 次の、「誰も予想しなかった大ヒット」となった『魔女の宅急便』(1989)が境目なんですね。配給収入21.7億円。この年の日本映画No.1ヒット。
 これ一応原作コミックがあるんですね。知らなかったです。そのぐらい私には関心が薄かった作品。「宅急便だけにクロネコヤマトが製作出資?へぇー」ってなもんでした。やっぱりポイントは、徳間書店に加えて、この作品から日本テレビが製作に入ったってことなんでしょう。

 ただ、ここではそれ以上に「女性観客を惹きつけたこと」がヒット要因として挙げられています。ナルホド。そして大都市以上にローカルのほうが成績がよかったらしいです。
 ジブリでは高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』(1991)も18.7億円のヒットで、やはりこの年の日本映画No.1。(そうだったんだ・・・。)女性ターゲット恐るべしなんですね。

 続く『紅の豚』(1992)はJALの機内で上映する30分程度の作品を、宮崎監督は“息抜きのつもり”で作ろうとしたのが思いが広がってしまい、・・・ということだそうです。この本の筆者はこの作品が「一番好き」だとのこと。それで前作以上の配収27.13億円。
 宣伝代理店は「ファミリー層」向け、鈴木敏夫Pは「大人の観客」向けを主張して対立したそうですが、結局双方が見に来たという結果。・・・「“楽しい” “明るい” “親しみやすい”ジブリ作品のイメージ」が広まったということが言われていますけど、この作品でついにこの年の(洋画を含む)全映画の中でNo.1ヒットを記録してたんですね。

そこへ、宮崎駿というおじさんが、自らの趣味性を前面に押し出した作品を作り上げた。それまでの“エコロジーの巨匠”的な、ちょっととっつきにくいイメージから、“飛行機が大好きで、どこにでもいそうな、腹のつき出た所沢のおじさん”という、より親しみやすいイメージへ。

 私は高畑監督は好きなんですけど、『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)は、変わった作品だなぁという印象でした。それで配収26.5億円で、この年の日本映画No.1と聞くと、すみませんが意外な気がします。
 近藤喜文監督『耳をすませば』+宮崎監督の短編『On Your Marks』(1995)もまた配収18.5億円で、同年の日本映画No.1。もはやジブリ・ブランドの威力だと。(この辺の分析が、この本では食い足りないところなんですけど、何とも言いがたいところなんでしょうかねー?)

 なぜ以下は追記にしたかと言いますと、ここまでをぐずぐずと書いていたら、この本のもっと簡潔な書評をネットで拝読してしまいました。(苦笑)

ということで、それで宮崎アニメがなぜ当たり、なぜスピルバーグを超えたのかその理由がわかったかというと、予測したとおりであったがそんなことはなかった(但しデータは役に立ちます)。もちろん、色々な推論が書かれてあるのだが、どれも今ひとつ腑に落ちる説得力を持たない。

まあ、なぜ宮崎アニメがこれほど日本国民の支持を受けたのかをもし解き明かせたらそれは大変なことでそれがわかれば苦労しない。ついでに、なぜ宮崎アニメが海外で日本ほど成績が振るわないかについてのヒントも得られるはずであろう。

 ぶっちゃけ、宮崎アニメがここまで当たる理由がわかんないのは、ご指摘のとおり。ただ「時代精神」との関わりという指摘は興味深いんですけど、この本は「ビジネスについて触れている」のが眼目なので、そういうのでない理由のヒントが欲しかったんですが・・・。

 ともかく「難解」で「エンターテインメントとは言い難い作品」である『もののけ姫』(1997)以後の宮崎アニメが、商業的な成功をおさめ続ける秘密こそが知りたいところだったんですけど、やがて筆者の方が映画業界紙を離れたこともあって、その肝心のところが少し抽象的な話になってるのはたしかに残念でした。

 鈴木Pは絵コンテを読み込んで、映画の内容をメインにして宣伝方針を決定する、というのが一応書かれていますが、これも筆者自身が「映画会社が行っている宣伝活動の、基本的な部分を忠実に行っているだけで、特に目新しい方法論を駆使しているようには見えません」と。(苦笑)
 それと監督の意向を反映するスタジオジブリの“作家主義”。これは母体が徳間書店という出版社だからではないか、と。(まあ、おもちゃ屋とは違うんでしょうかねー。)

 『もののけ姫』は同年激突したスピルバーグの『ロスト・ワールド』との日米決戦を制したばかりか、『E.T.』(1983)の記録を破り、配収113億円の日本新記録を樹立。これは日本の映画史上4番目で、1位が『千と千尋の神隠し』(2001年 304億)、3位が『ハウルの動く城』(2004年 196億)だとのこと。(2位は『タイタニック』。)

 業界データ的な話では、1993年に史上最低を記録した全国映画館数が、外資系シネマコンプレックスの登場で回復をはじめ、“1997年1884スクリーン→2001年2585スクリーン”というマーケット環境の激変もあったそうです。“作品の興行力に合わせて上映サイズを変えられる→ヒット作の収益機会はさらに拡大→映画の興行力の格差拡大”という図式ですね。

 『ハウル』では“時代の気分”を読み取る嗅覚に優れた鈴木Pの戦略として、賛否両論の効果を狙った宣伝戦略もあったのではないかと筆者は記しています。作品の解釈や評価をめぐって、映画評論家や文化人が意見を戦わせることが、社会的注目に繋がる。
 ハリウッド映画式の短期集中型ヒットではなく、長期にわたり観客を集めるロングラン興行狙いでは、このやり方は有効だということで、むしろ『ハウル』より、インターネット時代に今の『ポニョ』のヒットなんかを見ていると、そういう面もあるんだろうなと思いました。
 しかし2006年夏の『ゲド戦記』(宮崎悟朗監督)は、ネットではほとんど“否”のほうの意見ばかりを目にした気がするんですが、興行収入76.5億円で、同年の日本映画No.1ヒット。これには筆者も何となく違和感を匂わせています。しかしビジネスは結果が肝心ですからね。

 「なぜ宮崎アニメが・・・」の問いに、本当にビジネス面からは答は出ないんでしょうか。映画業界の変遷について知らなかったことが多くあったので、私は面白い読書ではあったんですが、肝心のところが「?」なので、この本のタイトルは「・・・なぜ当たる」ではなく、「・・・なぜ当たる?」にしておけばよかったのになぁというのが私の感想です。(笑)

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[tag] 宮崎駿 fc2ファビコン 映画 fc2ファビコン 読書 fc2ファビコン

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コメント

>

「魔女の宅急便」の原作は、コミックではなくて児童文学のようです。連作になっていまして、最後の方ではキキさんもトンボ君も大分成長しているようです。赤毛のアンみたいですね。


>『もののけ姫』(1997)以後の宮崎アニメが
今回ポニョを見て、一番興味深かったのは見終わった後の出来事です。
20代の若い衆のグループ、普段からアニメを見慣れているとは言いがたいニィちゃんネェちゃんたちでしたが、「結局テーマってなんだったんだろ?」「わかんねー」と話しながら立ち去ったのです。確か他のところでも、これと似た指摘を目にした覚えがあります。

ポニョにテーマがあるかどうか、
テーマがあるとして、それが判りやすい形で提示されていたかどうか。
それは何とも言い難いことですが(僕は今回、別になくてもええやんか、嬢ちゃん会いたかってん、それでええやんか。と個人的には思うことにしたのですが)、ともかく、ジブリ作品にはテーマがある、という前提は既に確立しているフシが見られるなぁと。

ということは、「テーマがある」ことが、ビジネスモデルとして一つのアドバンテージを持つ可能性があるかどうか、ということ、それから、「そのテーマが『日本的』でありすぎるが故に、諸外国では受け入れられにくい」という解釈が有効であるかどうかということ。

そんなことを考えたりもしたのでした。

>

外国で受け入れられていません? 現在世界中で宮崎アニメは愛されていると思うのですが。あのベネチア映画祭でもポニョ見たさにチケットはソールドアウトだったそうですし、スピルバーグは宮崎作品では千と千尋をいちばん評価しているようです。

文脈読み違えていたらゴメンナサイ。

> いろいろ

>「魔女の宅急便」の原作は、コミックではなくて児童文学
そういえば、そう聞いてたかも。フォローありがとうございます。

>ジブリ作品にはテーマがある、という前提
『千と千尋の神隠し』の話で、現代を象徴するキャラクターとして鈴木Pが“カオナシ”を重要視するパブリシティを打っていたところ、宮崎監督は「何で?」と当初言っていた、というようなエピソードがありました。
宮崎監督にはテーマなど関係ないが、鈴木Pはそこからテーマを発見するのでしょう。

>なぜ宮崎アニメが海外で日本ほど成績が振るわないか
ビジネス的にはハリウッド映画じみた経済的成功だけが「成功」と言えるのかも。そして、少なくとも宮崎監督は、そういういかにもアメリカ的なエンタメ路線は嫌いなようなので、北米マーケットでの展開が振るうわけが・・・。
だから、この話はむしろ(アケスケな言い方をすれば)俗なエンタメでないものが、日本でだけは何故こうまで大衆受けするのかというほうが重要なのでしょう。そこで議論の俎上に上げるべきは、果たして宮崎駿のアニメーションなのか鈴木敏夫のテーマ設定なのか。(わが国の大衆一般の感性が優れている、などという話になりかねないところが怖い怖い。)

>

『魔女の宅急便』の原作の童話は面白いですよ。
アニメとまた違って、童話ならではの、ゆるーい幸福感が良いです(笑

さて。
宮崎アニメがなんで当たってるのかって、確かに謎ですねぇ。
ハウルの動く城って、純粋に作品の出来で考えると
そこまでヒットするほどじゃないように思えるんですよね。
千と千尋やポニョが当たるのは納得できるし、
もののけが当たるのも、まあ分かるんだけど。
ハウルが普通に当たったのだけは分からんです(笑
宣伝文句だって、「この城が動く」ですもんね。
そりゃ動くだろ、動く城ってタイトルなんだから(笑

ネタとしては面白いんで、
元宮崎フリークとして今日一日、考えてみようかな。

>

共通体験っていうのが、これくらいしかないからじゃないですかね?
コミュニケーションツールって言うか。昔の全員集合みたいな。
ジャンルが細分化された結果、共通体験をになう係が、たまたま宮崎アニメに集約したのでは。
作品個々というよりはシステムや役割ではないかなーと思っています。
ポニョは気が狂ってるので面白かったです。
システムとして見られないようなアナーキーさがあるけど、それでもシステムとして消費する大衆の横柄さなのか。
アナーキーなパワーがあるからこそジャンルを超えた理屈以上の求心力が共通体験として語られるシステムを維持するのか。うーん。


マクドナルドとかカップヌードルみたいな定番商品が寡占するみたいな流れにも似てます。
自分で好みを考える前に、とりあえず見ておけばオッケーって言う。

> 朝日さん、ドラえもんもすごいよ

ttp://www.generalworks.com/databank/movie/rank04_0c.html

を見ますと、数年ごとに公開されるジブリ映画もすごいけれど、毎年のポケモン、ドラえもん、名探偵コナンもコンスタントに興収をあげていることがわかります。

朝日新聞出版さんには『ドラえもんは、なぜ当たる』かを教えてほしいです。

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