『機動戦士ガンダム』 第32話〜第33話 緻密に巡らされた伏線に唸ります
[2008/03/03] | 感想系 | トラックバック(0) | コメント(1) | TOP ▲
短め(あくまで“自社比”)に感想をメモするのを何とか定着させたいところですが、さて。(笑)
劇場版で言うと『めぐりあい宇宙』の冒頭に入ってきたところで、盛り上がりは絶好調なんですが、作画レベルは正直低調。セリフにも(設定の整合性のようなところで)ときどき「?」なものが混じり、ドラマの快調な展開に、製作体制の足並みが追いつかなくなってきてるのかなっていう気もしなくもないです。安彦さんが倒れちゃったのはどのへんからだったんですかね?
直前の「ザンジバル、追撃!」のラストから、ほぼタイムラグなしではじまる32話「強行突破作戦」。「シャワー室に行った連中はどうした?」というブライトさんのセリフは、「よう、シャワーでも浴びさせてもらうぜ」→「5分間だけならな、ジオンはまたすぐに来る」というスレッガーとの会話に呼応しています。見事な緊迫感。
今週のビックリどっきりメカ・・・じゃない今回の新メカは、“実用テスト前に放棄された”という設定も思わずうなづける素敵デザインのザクレロ(笑)。(でも何気に「拡散ビーム砲」とかの設定は、ビグザムに繋がる伏線ですかねぇ?)シャアは、もともとモビルアーマーの実用テストの準備中だったザンジバルに無理やり乗り込んできて“木馬”追撃をやってビグロを失ってるんで、ザクレロの勝手な出撃には、そのへんの微妙な不協和音が感じ取れるのも渋いシナリオです。
んで、単独突出してきたコイツに、「体の調子の一番いいもの」を発進させろというブライトさん。昔だったら何でもとりあえずガンダムだったんですけど、ここは戦いが長丁場になるかもしれないという意識もありそうで、(セイラさんの体調への気配りも含め)そこは戦い慣れしてきたのか。でも高速のモビルアーマー相手にハヤトのガンタンクというのは若干判断ミスくさい。そこを現場の判断できちっとフォローアップするアムロが地味にナイスです。(Gパーツの後部だけを付けたガンダムは、あまりカッコよくはないですが・・・。)
ザクレロのパイロットが、ガンタンクを「モビルアーマーの出来損ない」と言うのが笑えますが、ハヤトも頑張ってガンタンクで格闘戦してるのにはびっくり。そこを救援したガンダムとの戦いは、動きの読み合いでアムロの勝利。どうも動きが直線的になるのがモビルアーマーの欠点のようで、Gパーツの後部だけ付けたガンダムがもう出てこないのも、アムロの“技術屋”らしい判断でしょう。
この回はジャブローで出会ったシャアの追撃で悩むセイラさんの心痛が印象深い。そこを口説こうとするスレッガーさんをアムロがたしなめるのは楽しいですね(笑)。
シャアと戦えるぐらい、いいパイロットになるコツをアムロに聞いて不審がられるセイラさん。後になって彼女の苦悩を知ったときのアムロのことを思うと、このへんもいい伏線になってます。
そのシャアは昔自分の副官だったドレンといい芝居(「あ、いや、今は大佐でいらっしゃいましたな」、「ドレン、私を誰だと思っているのだ?」)をやってました。
ブライトさんは、前からリック・ドム6機とムサイ級3隻、背後からシャアのザンジバルの挟み撃ちで、迷わず前面の強行突破を選択します。ザンジバルには(シャア用のものを含めて)モビルスーツがもうないというのが分からないにしても、シャアを恐れている気分が何となく出ている気がします。
ここでスレッガーさんが「予備のGファイター」で急遽出撃することに。まあ、運用を考えればあるほうが妥当だけど、予備なんかあったのかというところで、そこまでの全力出撃というところと、スレッガーの実力をいろいろ試しておこうというブライトさんの思惑と。「ガンタンクもガンキャノンも高速戦闘向きではない。この際、1機でも多い方がいい」というのは、誰にとがめられたわけでもないけど、ブライトさんは先の失敗を素直に反省してますね。
そういう細やかなシナリオなんですけど、一方で、たしか伍長のはずのハヤトをカイが「ハヤト軍曹」と言ってみたり、中尉のはずのブライトをスレッガーが「少尉」と言ってみたり。・・・まあここは、ホワイトベースではそのぐらい階級なんか気にしてなかったと解釈しておきましょうか(笑)。
ジャブローを発したティアンム艦隊が大気圏を脱出したというナレーションがここで入り、ドレンの艦隊はここで“木馬”の相手をしてる場合じゃなかったんじゃないかという気もして、シャアの判断に「?」が入るところですが、ともかく囮作戦は大成功というわけです。
(そこがブライトの不安でもあったんでしょうが)ザクレロ戦で傷ついたガンダムはまだ出せなくて、ガンキャノン、ガンタンクにGファイター2機で迎え撃つはリック・ドム4機。これが2群に分かれたのに“2対2”では勝てないと“2対4”で戦う判断をするのが手柄に焦るスレッガーさんじゃなくて、セイラさんというところも渋めな描写。(セイラさんが敵を撃墜するときの名セリフは「うまい」。さすが“おだてのセイラさん”?)
残るドム2機の攻撃でホワイトベースは被弾してますが、ブライトはセイラの判断に文句も言わず、艦隊戦の回避運動はミライさんに任せ、3隻のムサイに対し1艦ずつ集中攻撃を命じるなど、大局を見た判断力の成長には感心しますね。タイミングとすれば一瞬の間なのでしょうが、ドム2機がドレン艦隊の射線の邪魔になった間に切り札のガンダム登場で勝負は決まり。キャラクターの作画は崩れ気味だった今回ですが、ガンダムとドムの殺陣はカッコよかった!
33話「コンスコン強襲」は冒頭ナレーションでコンスコン隊の発進を、ドズルの抱くシャアへの不快感と、戦局全体に対し一局面でしかないホワイトベースの状況込みで伝え、緊迫感を途切れさせません。
こんなタイミングで「あなたフラウ・ボゥのことどう思ってるの?」とアムロに聞き始めるセイラさん。「なぜって、あなた最近フラウ・ボゥに冷たいでしょ」ってことで、ジャブローではラブラブだったフラウとの間に微妙な距離が芽生え始めたのはこのへんなのか?ってか、このところアムロのパートナーになってるのはセイラさんなわけで、番組が打ち切りにならなかったら小説版みたいに彼女とのロマンスもあったりする(「いい女になるのだな、アムロ君が呼んでいる・・・。」)、そういう伏線だったのか、今となっては黒歴史なのでありました。(笑)
お邪魔虫ブラウブロ出現のせいで、その続きは聞けなかったんですが、アムロがGアーマーからボルトアウトじゃなくて「ボトルアウト」とか言い間違えるのは、きっと直前の会話での動揺を反映してるんだと解釈してきましょう(苦笑)。何しろ、ここだけみたら意味不明なジオンの試作モビルアーマーの顔出しだったんですが、このへんの何気ない伏線の張り方はすごいもんです。
サイド6入港では、31話で伏線が張られていたミライのフィアンセが登場。案外、まんざらでもない彼女の様子にぴりぴりするブライト。所詮お坊ちゃんのカムラン・ブルームに失望するミライさんですが、このタイミングで武力介入(笑)してくるのはスレッガーさん。お前、チャンスはとことん逃さずにチャレンジする男やなー。(勉強になります。)
コンスコン少将は、見事なまでにシャアの引き立て役なのですが、「木馬は何度取り逃がしたのだ?」という詰問はたしかにキツい。シャアがキシリアに打った暗号電文「パラロムズシャア」は、あとから思えばララァに関する何かだったんでしょうが、ここも伏線。
サイド6でアムロが父テム・レイと再会するのは、前回の予告では示されていましたけど、「おう、アムロか」と全然驚かない彼には、アムロ以上に視聴者は戸惑います。“そうかー、酸素欠乏症にかかったからなのか”とアムロのおかげで分かる始末。一目見て、父の示した回路が古いものだと見抜く眼力も含めて、アムロはすごい。それにしても、母の話題を振っても研究のことしか頭に残っていない父の姿に、アムロが叫ぶシーンを、ナレーションも何もなしでただ見せる、というあたりがテレビまんがを超えて映画っぽいクオリティなんじゃないでしょうか。
サイド6領空外の浮きドックで修理しようとするホワイトベース。中立国の微妙な描写なんかは、映画『戦艦シュペー号の最後』なんかをほうふつとさせるところ。コンスコンが発進させるリック・ドムは何と12機!「しまった、罠か!」→「カムランはそんな人ではないわ」というブライトとミライの会話が、こんなところでさえよい感じ(笑)。
この回もキャラクターの作画はアイタタなんですけど、モビルスーツ戦の描写はカッコいい!額から火花飛ばしまくりのアムロ(黒い三連星戦以来かなぁ)は、ここでは目に見えて“ニュータイプ”として描かれているんですけど、この段階ではそれはまだ明らかにされていないわけですね。「五つ・・・六つ・・・九つ!」っていうカウントは、三分も持たずに12機のリックドムが全滅というコンスコンのセリフとの合わせ技で、アムロのすごさを視聴者にも分かりやすく示していました。
そこへザンジバル登場で、サイド6へ逃げ込むホワイトベース。やっぱりシャアは怖いのか!
サイド6のパトロール艇でカムランさんが身を張って両軍の間に割って入ったので、ここでの戦いは水入りになるんですが。でもミライさんは彼よりもホワイトベースを捨てられないって言うんだな、これが。「カムラン、あなたは戦争から逃げ過ぎて、変わらな過ぎているのよ」っていうのが深い。おぼっちゃんで駄目なのは分かるけど、彼は彼なりに頑張っちゃいるんだが。・・・厳しい。ここでもナレーションとかはなし。
ちっとも簡潔なメモになりませんでしたが・・・。ラストまで知っているからかもしれませんけど、張り巡らした伏線の緻密さには唸ります。(ずっと張りっぱなしでなく1、2話のスパンで繋がっていくのもいいテンポです。)あと、解釈を交えずに、淡々と出来事を見せていく演出ですね、うん。
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