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革命はいつもインテリが・・・。『逆襲のシャア』にみる“技術屋”vs“政治屋” 

[2008/01/12] | 随想系 | トラックバック(0) | コメント(7) | TOP ▲

アムロ 「世直しのこと、知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるからいつも過激な事しかやらない」
シャア 「四方から電波が来る・・・」
アムロ 「しかし革命のあとでは、気高い革命の心だって官僚主義と大衆に飲み込まれていくから、インテリはそれを嫌って世間からも政治からも身を退いて世捨て人になる。だったら・・・」
シャア 「私は世直しなど考えていない!」
シャア 「愚民どもにその才能を利用されている者が言う事か!」

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

『逆襲のシャア』は難しいけど、いい作品ですね

『逆襲のシャア』はカオス!だけれども!

 久しぶりに『逆襲のシャア』を観た感想に、いろいろなコメントをいただいたことで、考えるきっかけをいただいております。ありがとうございます。

 劇中、激しい戦闘の中で、双方モビルスーツを降りて、落下するアクシズ内でアムロとシャアが交わした会話の話題です。『Zガンダム』で言えば、“劇場”でのシャア、シロッコ、ハマーン(、それとカミーユ)の会話に相当するような重要シーンですけど、わざわざ手の込んだ仕掛けを施してまで、シャアに議論を吹っかけるアムロの真意がたしかによく分からない。
 生身で戦っている最中なので、相手の注意力をそらそうとしてるのは、まあ動機としてはありますよね。そういう意味では(Nishinomaruさんがおっしゃったように、)“挑発”であり、“煽り文句”だというのは、シャアの側から見れば、妥当なことだと思います。

 それはそれとして。主人公の二人が、互いに相容れない立場を明確に示すと言う意味で、この会話が作劇上、重要なシーンであることも間違いないかと。

アムロが「革命はインテリが始めるが……云々」と言ったのも、 一人の人間が「世直し」を丸ごと背負い込む事なんて出来ない、 というアムロなりのアクチュアルな感想でもあるんだと思います。

・・・これは「アムロなりの」、とzsphereさんも言われたように、言いがかりをつけて挑発しているのではなく、アムロの側から見れば、その思いを率直に口にしている。これもそのとおりでしょう。

 戦前の日本では、ごく一部の上流階級だけが高等教育を受けることが出来て、貧乏な家庭に生まれた学業優秀な子弟が目指せる最高学府は、“士官学校”だったとよく聞きます。宇宙世紀の教育事情はよく分かりませんが、「インテリ」を狭義に“高学歴”と解せば、(士官学校を優秀な成績で卒業したことになっている)シャアは、インテリだと言って言えなくもないですね。・・・対するアムロはと言えば、ハイスクールをたぶん中退で、以後軍務ですから、頭の良し悪しは関係なく、学歴のバックボーンは一切ないバリバリの現場叩き上げです。(笑)
 「インテリ」と言う場合に士官学校卒などは、普通含まないんじゃないかという感覚もありますが、例えば1stガンダム序盤でのアムロとブライトの確執などは、まさに(未熟とはいえ)現場の専門技術者と、士官学校卒の青二才のそれでありまして。
 まあ学歴を度外視しても、そもそも技術屋の息子に生まれたアムロと、ジオン・ダイクンの子に生まれたシャアでは、出身階級はやはり違う(とアムロは感じていたかもしれません)。
 と言うより、はしなくも「愚民どもに・・・」とシャアが応えてしまっているように、ここでアムロが指摘したいのは、とにかくたぶん、シャアの“選民思想”のことなんですよね。

 ふと気付いたんですが、シャアはアムロに、お前は「パイロットだけ」をやってていいな、みたいなことを言ってましたが、これこそ言いがかりで。考えてみると、劇中でアムロは自分がνガンダムの基礎設計をした、と明言していました。シャアは“政治屋”兼務でしたけど、アムロのほうは“技術屋”を兼務していたわけです。(笑)
 シャアの視点からみると、「愚民」に対する選民とはニュータイプのことであり、自分より優れたニュータイプであるらしいアムロは、自分と同様に、人々を導くべき存在のはずだと考えていたのかもしれません。一方、アムロの立場からみると、選民思想に駆られて「愚民」を災いへ導いてしまう政治屋たちこそが「インテリ」なんですね。ここの断絶は大きいです。
 劇中でアムロは、自分のニュータイプ能力をあまり当てにしてないような印象もあり、チェーンがサイコフレームのことを一生懸命話していても、自分が基礎設計したνガンダムと、「フィンファンネルで勝てるよ」と、このへんもこいつはあくまで“技術屋”だなぁと思うところです。
 「アクチュアル」というのは、現実的とか実践的という意味かと思いますが、技術屋さんは同じ理想を追うにしても、そういうアプローチを選択するものだと思うんですね。それに終始してしまうのが、シャアから見れば、歯がゆくてならんわけですが。そこの両義性の面白さですよねー。

ただ、アクチュアリティうんぬんと言えば、富野監督のヌーヴェル・ヴァーグへの反感なのかもしれない。

ヌーヴェルヴァーグ - Wikipedia
(・・・「広義においては、撮影所(映画制作会社)における助監督等の下積み経験無しにデビューした若い監督達による、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法的な共通性のある一連の作家・作品を指す」)

 はー!さすがNishinomaruさんの指摘は鋭いですね!(これに対して、富野アニメは、低予算映画の文脈も持つ“アメリカン・ニュー・シネマ”的だったりするわけでしょうか。)

 メディアに露出しては“道化”を演じて理想を語ってみせる富野監督はシャアのようであり、同時にしばしば、叩き上げの一技術者ぶりを強調もしてみせる富野監督はアムロのようでもあり、いずれにしても“一枚の紙の表裏”なのですが。
 そのそれぞれの面を個別に見ていくと、実に興味が尽きないですねー。(笑)

追記:

 この話の続きはこちらです。
「νガンダムは伊達じゃないっ!」(・・・と言うしかない男の愚直さ)

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コメント

> 2・26のパロディ

アムロのいう「インテリ」を「エリート」と言い換えてみます。

「"技術屋"vs"政治屋"」という対立を超越している(つもりの?)存在こそが"エリート"です。技術系エリートをテクノクラートというわけで。いわゆる政治的解決なんてエリートはもっとも嫌うと思いますよ。シャアも和平会議を平気で反故にしてしまう。

挑発と書いたのは、シャアに「愚民」という言葉を言わせたりして自滅への道を用意しているからです。《地獄への道は善意で舗装されている。》

参照:
http://cinema.intercritique.com/comment.cgi?u=3493&mid=5560

つづきです

ただ、アムロは「インテリ」という文学的な言葉を使っているので、その点にそくして考えると、ほとんど文学史のお勉強になります。よく知らないけれど、シェストフ的不安とか実存主義とか……。

> 修正します。

しばらくして思い直したことは、アムロは《インテリ vs. 官僚主義と大衆》という対立軸を提示しているのですね。官僚主義とは、囚人022さんの言葉で置き換えると技術屋政治屋など、要は「わたしは○○屋ですから」というふうな発想のことでしょう。エリートと言い換えてもいいです。となると「インテリ vs. エリート」になります。

その意味では、たしかにシャアはインテリではない、せいぜいエリートです。だからアムロのくだんのセリフは言い掛かり、というか、やはり挑発だと、わたしは思います。

>

>>Nishinomaruさん

前の記事へのレスをこちらで少しさせてくださいまし。

>>平凡に聞けば、学生運動とか文化大革命とかのことを言っているんだと思いますよ。インテリの「自己批判」というやつです。

言っている内容はそうだと思います。
ただ、アムロがシャアに言葉をかけるのに、こういう言説を選択した、
というのが気になって。
これはほとんど根拠のない予想ですが、
アムロって普段、あんまりこういう思想に触れたり話したりする人じゃ
ないような気がするし。
彼は、自分が口にした「インテリ」という言葉の意味を
どれくらい深く知ってたのかな、なんて。
結果的に彼の言葉が、シャアにとっては「挑発」にしか聞こえないとしても。

いやまぁ、それ以前に私がよく分かってないんですけどね(ぇ
思想系の話はわりと苦手で。

>>アムロが余計なことを言うから、インテリ気取りで大衆との乖離に苦悩するシャアがアホなことしでかしよった、そいうふうに思えます。

この部分、少し気になったんですが。
まあ、非常につまらない揚げ足取りになってしまうんですが、
アムロがZガンダム以降で、シャアと接触できたのは
5thルナでの戦闘が最初でしょう。
その時点で、シャアは事を始めていた
(それも最後まですべて計画を立てていた)はずなので、
「アムロが余計なこと言ったからシャアがあんなことした」とは
言えないような気がするもので。

それとも、Nishinomaruさんの言う、シャアのした「アホなこと」の
指す先を私が勘違いしてるんでしょうか。
これってアクシズ落としを指して言っているのではなかったりしますか?

>>「人類の業」かもしれないけれど、いずれにせよ、シャアもお定まりなコースをたどった過激派=テロリストにすぎないと思います。とうぜん、アムロはそこのところを看取していて馬鹿にしている。

この点は同意します。彼のしている事は所詮テロです。
ただ、たとえば「0083」のアナベル・ガトー辺りと比べて、
自分のしようとしている事に自覚と羞恥はある、と。

アムロは……シャアの事を馬鹿にしていますかね?
私にはわかりません、そういうニュアンスもあったかもしれない。
なんとなく、「失望した」「見損なった」的な響きはあっても、
「馬鹿にしている」っていうのは個人的にはあんまり
しっくりこなかったりします。

サイコフレーム絡みの話で、アムロがシャアに、
「馬鹿にして! そうやって貴様は、永遠に他人を見下すことしかしないんだ!」
と言っています。
「馬鹿にして!」って怒ってる人が、自分は相手を馬鹿にしてた、
というのは……人間だからあり得ない話じゃないですけどね(笑

> インテリの感傷

《アムロが余計なことを言うから、(中略)シャアがアホなことしでかしよった》は、時系列を考えると変ですよね。わたしが言いたかったのは、アムロのシャアへの説得は、功を奏していないばかりか、むしろ逆効果だった、ということです。

あの時点で、シャアに翻意を促したところで何を止めることができたのか、そのこと自体、疑問です。

>この点は同意します。彼のしている事は所詮テロです。
>ただ、たとえば「0083」のアナベル・ガトー辺りと比べて、
>自分のしようとしている事に自覚と羞恥はある、と。

それこそ「インテリの感傷」でしょう。《自覚と羞恥》があろうがなかろうが、テロの結果は変わらないですから。

たしかに0083のニナの無自覚・破廉恥は突き抜けていると思いますが……。

>

>>それこそ「インテリの感傷」でしょう。《自覚と羞恥》があろうがなかろうが、テロの結果は変わらないですから。


ごもっともです(笑
なんで私、こんなにシャアのこと擁護してるんだろう?

> 今更のコメントですが

うーん。
そもそも、ガンダムってインテリvs愚民とか、支配層vs被支配層みたいな、そんなシンプルな話だっけ?っていうのがあるんですよ。

それって何を読んでも階級闘争の話として解釈してしまう、昔の左翼系批評とあんまり変らないような気がします。

エゥーゴとティターンズって、思想や政治的正しさを巡って、対立している訳じゃないし、カミーユもジェリドもシロッコも、そんな動機でグリプス戦役に参加したわけではない。

アムロの「インテリが云々」に対して、シャアがキレているのは、革命とか階級とか、シャアにとってそんな話は最初から関係ないのに、アムロが的外れな指摘をしているからでしょう。

> この話は尽きないですから・・・

続きの記事にも書きましたが、アムロはなぜだかシャアのことを勝手に高めに見積もっていて、「らしくない」のは私もそうだと思います。
彼への期待があったので、そうなっちゃうんだろうな、と。・・・で、通じてないから駄目なのかというと、そういうディスコミュニケーションがここでは描かれているという、そういうことなのかなーと思うのです。

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